二流以上と三流の分かれ目

2017.03.26.Sun.21:05
地代や家賃の係争案件で、他人の評価書を見ることがあるが、賃貸事例比較法を適用していない評価書が散見される。読んでみると規範性のある賃貸事例がないので賃貸事例比較法は適用できないと書いてある。

しかし利回り法やスライド法の説明では従前賃料が高いとか安いとか書いている。なぜ従前賃料が高いとか、安いとか思うのだろうか。それは自分で妥当だと思う賃料水準があるからである。その妥当と考える賃料水準の出どころは、畢竟(ひっきょう)賃貸事例なのである。

その鑑定士は20年に一度しか取引が無いような小規模集落の土地価格を求めるときに、土地の取引事例比較法は適用しないのだろうか。おそらく適用すると思う。他の小規模集落の取引を使ったり、古い事例を使ったり、あるいは大きな地域格差がつくが、市街部の取引を使ったりして適用すると思う。

その町に一棟しかなく、しかも過去に取引が無いマンションの一室を評価するときに、取引事例比較法は適用しないのだろうか。おそらく適用すると思う。遠くても他の市のマンション取引の事例を使って比準すると思う。

鑑定士の中には事務所や住宅はともかく、継続地代や店舗の賃貸事例比較法はやらない方がいいと言う人もいる。理由を聞くと、事情が複雑で比較できない、昔研修でそう習った(私はその真偽の確認はしていない)、大手の鑑定機関もそうしている(同じくその真偽の確認はしていない)からだそうだ。

事情が複雑なのは、土地の取引も同じである。賃貸事例比較法はやるべきではないという考えは、私には理解不能である。たとえ試算賃料としての精度が落ちても、検証の意味も含めて、適用可能な手法を積極的に使ってみるのは、悪いことではなく、いいことなのである。積算賃料も、収益賃料も、差額配分法も、利回り法も、スライド法も適正な賃料を目指しているが、他の手法と補完しあって初めてその試算賃料の性質が分かってくる。

私も賃貸事例比較法を適用しないことはある。この物件は特殊で、他の物件と比較の対象にはならないという場合もある。ただ適用出来ませんのハードルが二流以上と三流では大きく異なるのである。
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