吉川三国志

2017.05.20.Sat.09:04
私が若いころ、もっとも繰り返し読んだ本は吉川英治の三国志である。最初から読んでも面白いが、途中から途中まで読んでも面白い。他の本や漫画も見たが、やはり吉川三国志じゃないと駄目である。

吉川三国志が面白い理由の一つは、その執筆時期にある。三国志は、新聞連載小説として、昭和14年(1939年)8月26日から昭和18年(1943年)9月5日まで連載されたものだが、小説に戦時中の緊張感が反映されている。蜀が滅んでしまうのは、まるで大日本帝国の崩壊を暗示しているようである。

吉川三国志が面白い理由の一つは、人物の個性により濃淡はあるが、漢王朝が絶対正しい史観の枠内で、登場人物が描かれていることにある。この漢王朝が絶対正しい度は、劉備や関羽、張飛らが100%なら、曹操クラスになると50%位になるのだろうか。人間にとって尊いものを抱いて生きることは重要なことである。

支那の歴史も、諸葛亮が死んでからは、単なる私利私欲の歴史となり、急激につまらなくなり、現代に至っている。